“虫歯菌”が認知能力の低下に影響

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保菌者は4人に1人と推測

 虫歯の原因となる特定の細菌が、自覚症状のない脳内微小出血の発症に関わり、認知機能の低下にも影響していることが、京都府立医科大学大学院医学研究科の渡邉功助教らの研究で明らかになりました。この細菌は一般住民の4人に1人が保有している可能性があり、口腔内環境の向上が発症頻度を減らす鍵になるとしています。

 自覚症状はないものの、脳内でわずかな出血が起こる「脳内微小出血」。脳卒中や認知症の重要なリスク因子ですが、その発症メカニズムは十分に明らかとなっていません。喫煙や飲酒などの生活習慣、高血圧症などが原因となる可能性が示唆されていますが、同大学などの研究から、コラーゲンに結合する性質を持つミュータンス菌が発症に関与していることが報告されています。この菌は、血管壁のコラーゲンと結合して血管の損傷部位に集まり、血小板の止血作用を阻害する性質を持っている“虫歯菌”です。

 これまでのところ、急性脳卒中患者ではない一般住民において、このミュータンス菌と脳内微小出血の起こる部位や認知機能の低下がどのように関与しているかは明らかになっていません。そこで今回は、一般住民を対象とした横断研究を行い、コラーゲンに結合する性質を持つミュータンス菌が脳内微小出血のリスクを高める可能性があるかを調査しました。

発症リスクは14.4倍に

 過去には139人を調査した研究で、コラーゲンに結合する性質を持つミュータンス菌の保菌者が脳内微小出血を発症するリスクは、非保菌者の14.4倍という論文が発表されています。279人を調査した今回の研究でも、14.3倍という高いリスクを示す結果となり、コラーゲンに結合する性質を持つミュータンス菌と脳内微小出血の関連が非常に強いことが明らかになりました。

 さらに、脳内微小出血の起こる部位に注目すると、保菌者群は脳の深い部分で出血が起こる「深部型」が67%と最も多いことがわかりました。深部型は記憶力や注意力などの認知機能障害に関与するとされており、保菌者群に単語想起課題(1分間に“か”のつく言葉をいくつ言えるかなどのテスト)をしたところ、明らかなスコアの低下がみられました。このことから、保菌者は自覚症状がないものの、認知機能が少しずつ低下している可能性が示されました。

 これまでの研究から、一般住民の4人に1人がコラーゲンに結合する性質を持つミュータンス菌を保菌している可能性があることがわかっています。同大学では「研究成果をもとに、保菌者が将来にわたって脳卒中や認知機能低下の発症を防ぐことができるよう、リスクを下げる因子の検討を進めたい」としています。(菊地 香織)

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