子どもの「創造力」を育てる。都会でもできる「自然遊び」の大切さ

子どもの「創造力」を育てる。都会でもできる「自然遊び」の大切さ

2018年5月22日

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自然に触れることは、子どもの豊かな感性を育てるために大切だといわれます。しかし、都会で働きながら子育てをしている親にとって、自然豊かな場所に頻繁に足を運ぶことはなかなか難しいもの。実際のところ、子どもたちにとって自然体験とはどのような意義を持つものなのでしょうか?

今回お話を聞いたのは、全国の小学校や幼稚園、保育園などから依頼を受け、子どもたちとの自然ふれあい活動を行う「ろぜっとわーくす」の代表を務める中山康夫さん。40年以上にわたり、子どもの自然教育、環境教育に心血を注ぐ中山さんは、「子どもの豊かな感性を育む自然教育は、日常生活のなかにヒントが溢れている」と語ります。自然と触れ合うことで子どもたちにどんな変化がもたらされるのでしょうか。今日から実践できる親子での「自然遊び」のコツについて、アドバイスをいただきました。

取材・文:阿部美香 撮影:ライトイングス その江



プロフィール

中山 康夫(なかやま やすお)
1951年静岡県出身。大学卒業後、こどもの国協会に入職し、キャンプなど子どもたちの野外遊びや自然ふれあい活動、工作、各種イベントの立案、運営などに従事。2002年、野あそびのプロ集団「ろぜっとわーくす」を設立。全国の小学校、幼稚園、保育園、児童館、子ども会などの依頼を受け、自然ふれあい活動の実践や講演会、指導者の研修会、環境劇やフィールドファンタジー(自然を題材にした参加型野外劇)の公演を行っている。2002年から2015年までは、横浜市の学校法人四恩学園ナザレ幼稚園の野外活動研究所「森の幼稚園」所長も務めた。主な著書に『現代版 野あそびガイド』シリーズ(萌文社)など。

6歳までに90%の脳組織が発達。大切な乳幼児期に自然が果たす役割とは?


―子どもの情操を育てるために、自然との触れ合いは重要だといわれますが、都会で働く親はなかなか行動に移せないのが現状だと思います。中山さんは、自然が子どもに与える影響をどう実感されていますか?

中山:「三つ子の魂百まで」ということわざがありますね。「幼い頃の性格は年齢を重ねても変わらない」という意味ですが、この「三つ子」というのは、いまでいう2歳くらいのことを指しています。このくらいの年齢までに、子どもが何を見聞きし、体験して魂や心を成長させるかは、とても大事なことなんです。

実際、6歳までのあいだに脳の組織は成人の90%まで発達するといわれています。そのあいだに、五感をフルに使って多くの体験をすること。これが豊かな脳を育むための大事な要素であると、多くの脳科学者が唱えていますね。

「ろぜっとわーくす」代表の中山康夫さん
―五感を使うことが、子どもの脳の成長に役立つのですね。

中山:はい。その際に、自然の持つ「情報量」が重要になってくるんです。部屋のなかでは24時間の移り変わりを肌で感じることはできませんが、自然は刻一刻と変化します。風が吹き、太陽が動き、気温も変わる。さまざまな要素が複雑に入り組んで、その瞬間を構成しています。

まだ言葉を話せない0歳児であっても、子どもなりにそれを五感で感じることができるんです。そしてその経験は人が生きていく力の原点になります。つまり、自然のなかに身を置くことそのものが、子どもにとってとても重要なんですね。



ただ感じるだけでいい。子どもは本能的に自然を必要としている


―物心つく前の乳児期から、自然が重要な役割を果たすのだと。

中山:人間もやはり動物です。動物たちが森のなかで自然を享受しながら生きているのと同じように、人間も自然を必要としている生き物だと思うんです。たとえば私はいま保育園に勤めていますが、一日中部屋のなかに閉じ込められると、子どもたちはイライラしはじめます。喧嘩したり、ときには噛みついたりもします。それが外を散歩して、さまざまな情報を自然から取り込むことで、本能的に心の落ち着きや穏やかさを取り戻すのです。

―たしかに子どもたちは、植物や生き物に対して驚くほどの集中力や好奇心を発揮します。

中山:子どもには生まれながらに、「情報収集をしたい」意欲があります。いろいろなものを知りたい、感じたい、見てみたい、聴いてみたい、そして触ってみたい。そうした欲は、部屋のなかでは満足に発揮できない。外へ出ることでたくさんの刺激を受け、感覚が研ぎ澄まされていきます。子どものあいだは、そうやって自然から得られる無限の情報を、感じることがまず大切。知識は後から身につければいいんです。

赤城自然園で遊ぶ中山さんと子どもたち
―自然教育、環境教育と聞くと、自然を通じて子どもに有益なことを教えなければと、つい親としては身構えてしまいますが、「自然で勉強させよう」と思ってはいけないんですね。

中山:そのとおりです。「教えよう」とか「何かをさせよう」とすると、子どもは本能的に反発します。自然のなかでは、「自然そのものが先生」です。学校の勉強には正解と不正解がありますが、自然の前では、100人の100通りの感じ方すべてが正解なんです。ですから大人はそういった、懐の大きな自然のすごさやおもしろさ、自然と遊ぶことの楽しさを伝える役割に徹するだけでいい。自分も子どもになった気持ちで、一緒に楽しんでほしいのです。

次のページ:自然のなかで遊んだ子と、遊ばない子の違い。ドイツでの研究結果は?

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