「働いていないかもしれない上司」に1日密着。知られざる仕事をレポート

「働いていないかもしれない上司」に1日密着。知られざる仕事をレポート

2018年6月25日公開

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文:豊田 秀俊(CHIENOWA)
お酒を飲んでばかりの支社長。ちゃんと仕事をしているか、1日監視してみることにした
クレディセゾン神奈川支社には、所属している部署を抜け出し、職種問わず他業務に取り組むことができる「もしもBOX」という制度があります。経験してみたい部署の仕事を体験することで、自身のキャリアを考えるきっかけを与えてくれるおもしろい制度です。社会人2年目になり少々マンネリを感じていた私は、「もしもぼくが、支社長の秘書だったら」という希望を出し、それが通ってしまいました。なんと寛容な職場でしょうか。

なぜ、支社長の秘書になりたいと思ったのか。それは企業の社内報や採用ウェブサイトなどでよく見かける「社員さんに1日密着!」という趣旨の企画に飽きていたことがきっかけです。だって、そのほとんどの登場人物は、若手社員のような気がしませんか。

しかし、会社に勤めているのは若手だけではなく、老若男女、多種多様な人材が存在します。そばで見ていて「この人は本当に働いているのかな?」と疑問が湧いてくるような人物もいます。ということで、私は「この人は本当に働いているのかな?」と感じてしまう人を「働いてないかもしれないおじさん」と勝手に命名し、その実態を暴きたいと思いました(あなたの周りにも潜んでいるかもしれません!)。

そして、私の周りにいた「働いてないかもしれないおじさん」こそが、ズバリ、クレディセゾン神奈川支社の井上一宏支社長だったのです。神奈川支社に在籍する193人の社員を率いる支社のトップが支社長です。ですが、私は神奈川支社に2年間所属していながらも、支社長が真剣に仕事に取り組んでいる姿をほとんど目にしたことがありませんでした。私が知っている支社長は、3度の飯よりお酒が好き。部下のために汗水を流して働いているはずの支社長は、じつは飲んだくれているだけではないのか……? と、素朴で意地悪な疑問が湧いたのです。
支社長の仕事その1。クライアント企業の新製品発表会へ。満面の笑みでチキンを頬張る
さて、そんなわけで始まった支社長の1日秘書体験、当日。「お腹をすかせて待っておけ」と支社長より私に指示があったので、何も聞かされないまま、朝から何も食べずに神奈川支社に出社しました。支社長と合流し、向かった先はみなとみらい21地区。この日の最初の仕事は、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の「チーズたっぷりな新商品」発表会・試食会への出席です。

今回、横浜に新本社を構えたばかりの日本KFCさんが、地元企業との地域コミュニケーションとして、神奈川支社のメンバーを招いてくださいました。会場となったオフィスは、内装にケンタッキーの歴史が描かれ、スタイリッシュでとても素敵な場所でした。たくさんのメディア関係者に囲まれ、やや緊張の面持ちの支社長。新商品発売とともに公開予定のCM試写会を経て、新商品の試食会が始まりました。

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社「チーズたっぷりな新商品」試食会会場の様子
この日発表された新商品のとろ~りチーズチキンサンドは、濃厚でありながらも食べやすく、チーズ好き男子の私には幸せなひとときでした。朝から何も食べていなかった私は、あまりの美味しさにハイペースで試食しました。しかし、私を遥かに上回るスピードで試食していたのが支社長です。1分ほどで1つ目のチーズサンドを完食し、さらに「おかわりいかがですか?」というお言葉に甘えて2人前をたいらげている! その姿を見て、私に空腹でくるように指示したのは、いちばん美味しく食べられる状態で参加できるようにという、部下への配慮と気付き、どんな仕事も全力で挑む姿勢を学びました。

写真左:クレディセゾン神奈川支社長 井上一宏 写真右:筆者
支社長は完食後、「神奈川支社のみんなにも食べさせてあげたいくらい美味しいな!」と一言。この言葉を耳にした私は、のちにとんでもない失敗をしてしまうことになるのでした……。
支社長の仕事その2。広い視野で、部下のミスをすぐさまフォロー
試食を終えた後は、オリジナルチキンマイスターさんと記念撮影。ケンタッキーフライドチキンには、全国に約6,000名のオリジナルチキンの調理資格を持つスタッフが在籍しています。なかでもトップレベルのスタッフから選ばれている、世界でたった2人しかいない「オリジナルチキンのプロフェッショナル」が「オリジナルチキンマイスター」だそう。多くの人が集う発表会の場というだけでなく、現在世界に2人しかいないという逸材を前に、緊張のあまり話しかけることが出来ない私をよそに、積極的にコミュニケーションをとる支社長。この人の辞書に「人見知り」という文字は、ありません。

白いスーツを着た2名がオリジナルチキンのスペシャリストであるオリジナルチキンマイスターさん。支社長はここでも満面の笑み
新商品発表会も終わりを迎え、メディア関係の方々がぞろぞろと帰っていきます。私は、丁寧にお見送りの対応をしていたスタッフの方に、「神奈川支社のメンバーにもぜひこの素晴らしい新商品を食べさせたいので、あまったものを持ち帰ることはできますか?」と声を掛けてしまいました。

すると突然、額に脂汗を浮かべた支社長が、瞬間移動するかのような勢いで私の目の前に現れました。

いつも笑顔の支社長が真剣な表情で、深々と頭を下げ「大変、大変申し訳ございません!」と謝罪をはじめたのです。お見送りの最中にも関わらず、私が図々しくもチキンサンドのテイクアウトをお願いしたのは、こともあろうに、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の執行役員・竹井勤様だったのです。その姿は、バイキング会場で「余った分は持って帰ってええかい?」と聞くおばちゃんのようだったと思います。

自分の失態に気づいた私も支社長と一緒に「大変申し訳ございません!」と地面に届きそうな勢いで頭を下げました。温厚な竹井様は笑って流してくださり、支社長のフォローのおかげで事件は収束しました。「社外のお客様には、どんな状況でも絶対に礼節をわきまえなければいけない」と教わった私は、今後、2度とこのような失礼をしてはならないと学んだ試食会となりました。
支社長の仕事その3。プロデューサーのようにアイドルグループの舞台演出を行う
次に向かった先はオークラフロンティアホテル海老名。ららぽーと海老名の店長懇親会に出席するためです。そこでは、クレディセゾンの社員によるアイドルユニット「東池袋52」の神奈川支社メンバー6名がゲスト出演することになっていました。イベント全体の責任者を務めつつ、ご招待しているお取引先様各社にご挨拶して回るという大役です。

懇親会までは時間があったので、私たちはステージのリハーサルに立会いました。すると支社長は「照明は全員がスタンバイしたタイミングで、いきなりパッと明るくした方がいい」など、プロデューサー顔負けのアドバイスをはじめます。リハーサルを何度も繰り返し、入念にダンスのチェック。メンバーの配置を確認する支社長の真剣な表情は、いつも飲み会の席で見ていた顔ではありませんでした。

本番前には、メンバーへドリンクを差し入れたり、リラックスするために椅子を用意したりと気遣いを欠かしませんでした。緊張しているメンバーには「大丈夫! 成功する!」と何度も声を掛け、軽快なトークで場を和ませるなど、メンバーをケアし続けます。その働きが功を奏してか、本番では、「東池袋52」神奈川支社メンバーが見事に会場を沸かせ、無事イベントは終了。

大満足の井上支社長と「東池袋52」の神奈川支社メンバー
イベント終了後も、支社長の仕事は続きます。東池袋52の出番が終わると、息つく暇もなく懇親会に参加します。お酒の席でも「会社をどうしていきたいか」を取引先と熱く語る支社長。誰よりも熱心に「神奈川支社を変えたい」と語り続ける姿に、思わず私も「神奈川支社、そして支社長のために頑張りたい!」とモチベーションが上がりました。
結論:支社長は、ビジネスを円滑に進めるために「飲んだくれている」キャラクターを演じる名俳優だった
支社長が働く姿を1日監視して、「働いてないかもしれないおじさん」の実態を暴きだそうと目論んでいた私の考えは、一変しました。誰もが接しやすいキャラクターである支社長は、社内でいつも陽気な姿を見せることで、うまく部下をチアアップしているのです。懇親会で夢を熱く語る支社長をみて、神奈川支社の193人の仲間を率いるリーダーたる所以に気づかされました。

「働いてないかも、じゃないよ。この人めっちゃ働いてるよ」。支社長は「働いていないおじさん」を華麗に演じる、役者なのではないか、とすら思えたのです。

部下のミスに一瞬でフォローに入るアンテナの高さと視野の広さ。そして、イベントの演出にまで物申す、責任感の強さ。ビジネスの舞台で自ら役を演じながらも、同時にステージ全体を盛り上げる舞台監督のようでもありました。

支社長はいつも「仕事はギブ&テイクの精神ではなく、ギブ&ギブの精神で取り組むことが重要だ」と言っていました。与え続ければ、いつかは自分にプラスで返ってくるという考えです。支社長の根底には、相手のために尽くすというギブ&ギブの精神があり、優先順位は自分ではなく相手、そしてチームのことを真っ先に考えているんだなということが、1日支社長のそばで働いてみてわかりました。私が入社した時の神奈川支社のスローガン「笑いと思いやり」をまさに体現していたのは、支社長そのひとでした。

支社長に1日密着して、普段見ることができなかった仕事への取り組み方やリーダーとしての人間性を見ることができました。私の長い社会人人生のなかで、チームを引っ張っていくべき立場になったときは、井上支社長のような懐の大きな人になりたい。そんな決意を抱かせる、貴重な体験でした。

もしかすると、あなたの周りの「働いていないかもおじさん」は、わざとその姿を演じることで組織をうまく回している、努力家なのかもしれません。

長い1日が終了したかと思いきや、懇親会終了後も打ち上げのため夜の街へと消えていく支社長でした。
プロフィール

豊田 秀俊(とよだ ひでとし)
株式会社クレディセゾン 戦略企画部プロモーション戦略グループ所属。社会人3年目。
支社長の1日秘書体験をした翌日に、神奈川支社から異動。将来は自分も「働いていないかもしれないおじさん」になることを目指す。

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