つるの剛士:第7回 パパたちには、育児休業ではなく、“家庭訓練”を経験してもらいたいです

つるの剛士:第7回 パパたちには、育児休業ではなく、“家庭訓練”を経験してもらいたいです

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第7回目となる今回は、つるのさんが取得した2度の育児休業についてのお話を伺っていきます。1度目と2度目では、休業することに対しての意識がまったく違ったそうです。2度の育児休業を経験したつるのさんならではの言葉が、たくさん詰まったインタビューです。家庭円満は、パパの仕事にも影響するそうですよ。

■最初に育児休業を決めたとき、どんなお気持ちでしたか?

最初に休んだときは“育児休業”という意識はなかったんです。1回目の育児休業を取ったのは、4人目の子どもができたときだったんですが、そのころ僕は仕事ばかりしていて、家庭を振り返れていなかったんですよね。
当時MCを担当していたEテレの『すくすく子育て』で、海外ではパパの育児休業という制度があると知って「将来、僕も子だくさんになる予定だから、いつか取ってみたいな」と漠然と考えていたんですけど、「これは一度、家庭に入ってベースを作り直さないと、仕事がうまくいかないな」と思ったのがキッカケだったんです。

■仕事でうまくいくために、家に入る必要があると思ったのはなぜですか?

昔、親父が言った言葉があるんです。「男は、社会に出て仕事をするのは当たり前だけど、家庭というベースがしっかりないと仕事はうまくいかないからな。だから、ちゃんと両立しろ」って。
ベストファーザー賞の授賞式の朝に、その言葉がパーンと頭に浮かんで、「俺、仕事休もう。来年の1月から半年休もう」って思ったんです。事務所に話してもきっと反対されるから、授賞式のステージの上で、カメラに向かって言っちゃおうって思って、実行しました。そうしたらみんなずっこけて、事務所の人も大騒ぎになっちゃって。
その後に、事務所のスタッフと話し合いをして、最終的に2ヵ月の休みをもらうことになりました。

■その決断は、世の中に大きな影響を与えたと思います。ご自身が世間からの反響を感じたのはどんなときでしたか?

休んでいる間に、僕の影響を受けて育児休暇を取ったという区長さんがいたり、僕のブログが、毎日ネットニュースで取り上げられたりしていて、「え? 育児休業を取るって、こんなに注目されることなの?」と驚きました。
育児休業が明けて復帰したら、世の中に“イクメン”という言葉ができていて、それから僕自身が“イクメン代表”と言われるようになったんです。
ただ僕は、その言葉が流行ることには懸念を抱いてました。“イクメン”という言葉ができたことによって、世の中のパパたちの肩身が狭くなっちゃったんじゃないかなと思ったんです。僕はそんなつもりで育児休業を取ったわけではなかったから。近所のおじさんに「お前がイクメンイクメンなんて言うから、俺が母ちゃんに怒られるじゃないか」って怒られたこともありました。

■その後、2回目の育児休業を取得されていますが、そのときはどんな気持ちで取得したんですか?

最初の育児休業から6年が経って、第5子ができたときに、「これだけイクメンイクメンって言われるなら、実際にイクメンをやってみよう」と思ったんです。みんなが言う“イクメン”とは一体どんなものなのか、経験してみようと。
奥さんには「絶対、水場に立つな。24時間、赤ちゃんの面倒だけ見ててくれ」と言いました。上の子どもたちのこと、家のことはすべて俺がやるからと。
2回目の育児休業は、6年前のものとは、質も気持ちも全然違いましたね。

■そんな気持ちでスタートした2回目の育児休業はいかがでしたか?

主婦のみなさんの気持ちがすごくよくわかった1ヶ月でした。自分がレギュラー出演していた『ヒルナンデス!』も、主婦ってこんな感じで観てるんだ!と思ったし、客観的に、主婦目線で番組を観られたことで新しい発見もありました。
子どもたちとの間にも、「プリントを出さない」とか「弁当箱を出さない」とか、腹の立つことがたくさんあるんですよ。せっかく弁当作ったのに「今日、弁当の日じゃなかったんだけど」とか言われたりしてね。
誰とも会わない日もあるし、ニット帽被って眼鏡をかけて、エプロンつけっぱなしで一日を過ごしてると、お迎えどきのママたちとの井戸端会議が楽しくてしょうがない(笑)。そのうち、たまのランチがすごく楽しみになってくるんですよね。人のための料理ばかり作ってるから、誰かが作ってくれたご飯が食べたくなるんです。あそこのシェフのランチが美味しいらしいとか聞くと、それを楽しみにして午前中の掃除を頑張ろうとかね。
「ママたちが感じていたのって、こういうことだったんだ」という発見がたくさんありました。これは1回目の時にはなかった体験でしたね。そういう気持ちをノートに書き留めておいて、最後の日にブログでぶちまけたんです。

■育児休業の中で、つるのさんが最も「つらい」と感じたことはなんでしたか?

働くパパは、社会で目標達成ができるんですよ。仕事の目標を立てて、それを頑張ってやり遂げて……というような達成感を得ることができる。でも、家庭で育児や家事を頑張るママは、その日の目標を立てても達成できないんですよね。でも、次の日も朝早いから、消化不良のまま寝なくちゃいけない。僕は最初の育児休業のとき、その消化不良感がものすごくつらかったんです。でもこれは、実際に経験してみたいとわからないんですよね。
つるの剛士
■世のパパたちにも、育児休業を経験することをオススメしたいですか?

育児休業というより、パパの“家庭訓練”としてオススメしたいですね。
「家庭」って自分のベースになるものじゃないですか。毎日、そこから出かけて、帰って行くわけだから。そこでママたちがどんなことをやっているのか、どんな気持ちでいるのかを知るのって、すごく大事だと思うんです。子どもが巣立った後、人生をずっとともにしていくのはママなわけだから。
家庭がうまくいくと、仕事にもそれが反映されるんです。今はママたちも外で働いているという家庭も多いんだから、平等だよね。長期が無理なら、1日でもいいからママの“オフ日”を作って、パパに家の中のことを経験してもらうとか……。あまり無理強いはしたくないんだけど、世のパパたちにはぜひ試してみてほしいと思いますね。




育児休業という経験を経て、パパとママ、どちらの気持ちも理解できるようになったと語るつるのさん。相手の立場を経験することで、その気持ちがわかるというお話は、夫婦円満、家庭円満の秘訣として、ぜひ真似したいと思いました。
次回はとうとう最終回です。つるのさんから、ママたちへのメッセージをいただきました。
お楽しみに!




取材・文:上原かほり 撮影:chiai
衣装協力:ikka、KINGLY MASK
スタイリスト:佐藤慶明(go ahead)
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