悟空のきもち代表が語る、管理職不要論。働く力は「フラットな環境」が育てる

悟空のきもち代表が語る、管理職不要論。働く力は「フラットな環境」が育てる

2019年2月18日公開

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全国に4店舗を構え、キャンセル待ちは約42万人(2019年1月時点)。今年はニューヨークにも出店を控えているという人気のヘッドマッサージ専門店「悟空のきもち」。

ここで働くスタッフは全員女性。役職がなくフラットな組織で、給料も基本一律。しかも、社員は1か月170時間の勤務時間を守ればいいだけで、シフトも自由自在。そんな自由な環境で、「管理職がいなくて会社は成り立つの?」と疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。

悟空のきもちの代表取締役である金田淳美さんに、なぜ女性だけの組織にしたのか、また役職を設けない理由やそこから生まれるメリットについて聞きました。

取材:岸田絵美子、栗田宏美(CHIENOWA編集部) 文:CHIENOWA編集部 撮影:星麻子
プロフィール

金田 淳美(かねだ あつみ)
頭専門揉みほぐし店「悟空のきもち」代表。2008年に「悟空のきもち」1号店を京都・四条河原町にオープン。2010年には大阪・心斎橋に2号店を誕生させた。その後、東京に進出し、2013年に表参道に、2016年に銀座に展開。2018年には原宿にビル1棟からなる店舗がオープン。2019年春にニューヨーク店もオープン予定。現在、3か月先まで予約が埋まっており、キャンセル待ちは全店舗合わせて約42万人(2019年1月現在)。

悟空のきもち
https://goku-nokimochi.com/
「眠り」の質が、「仕事」の質に直結する。頭のもみほぐし店を立ち上げた理由
――まずは「悟空のきもち」を立ち上げた経緯を教えてください。

金田:もともと「自分の会社をやりたい」という思いがあったのですが、何をしたいかが決まっていなかったんです。そこで、まずは経営の勉強をしたいと思い、会計士になりました。会計事務所に就職し、活躍したいと頑張っていたんですが、なぜか仕事中に眠くて仕方がなくなってしまうことがあって。こんなにやる気があるのに、どうしてだろうと不思議に思っていました。

調べていくうちに、パソコン業務などにより頭の筋肉がかたまってしまうことで、睡眠が浅くなり、日中眠くなってしまうことがあるとわかりました。そこで、私みたいな人って世の中にいっぱいいるんじゃないかと思ったんです。どうすれば解決できるか考えたときに、頭をもみほぐせばいいんじゃないかと思いつき、そこから悟空のきもちを立ち上げることとなりました。

左から金田さん(悟空のきもち代表取締役)、ファシリテーターの岸田、栗田(ともにクレディセゾン)
――頭のほぐしで金田さんの眠気も解消されたんですか?

金田:解消されました。でも、最初は頭のこりをほぐしたから眠気が解消されるのかなくらいに思っていたんです。でも、悟空のきもちを訪れたお客さんの感想を聞いているうちに、施術中だけでなく家に帰ったあと夜もぐっすり眠れるからこそ、日中元気に働けるということがわかってきました。本当に大事なのは頭のこりをとることよりも、それによってきちんと「眠る」ことなんじゃないかと気づいたんです。

私自身、会計士時代は睡眠時間を削ってでも仕事をするという考えを持っていました。でもいま、それは間違っていたと思っています。

頭をほぐすようになって、眠りを一番に考えるようになってからは、身体も楽になりましたし、もともとあった偏頭痛もなくなりました。それから、仕事が進まないときやうまくアイデアが浮かばないときこそ、きちんと眠るようにしたんです。いまは、以前と仕事量は変わらないまま、作業時間がかなり減りましたね。
「管理する体制は、スタッフを苦しめるだけだと思った」
――会社を立ち上げてから、苦労もあったそうですね。創業時にいた社員がすぐに辞められたと。

金田:新しい人が入ってもすぐに辞めてということが、最初のうちは続きました。いま考えれば、私のやり方が間違っていたのだと思います。

――当時はどんなやり方をしていたんですか?

金田:開店当時はお客さんがあまり来ないので、スタッフは集客のためのビラ配りばかりすることも多かったんです。お店にいる時間は、仕事がなくても何かしら自分でやることを見つけて動いていないといけないという指示を出していました。

でもしばらくすると、その目的が、「仕事をやっているように見せるため」の作業になってしまっていて。それでスタッフも疲弊していったんだと思います。私も会計士時代に仕事をしたいのに眠くなることがあったという話をしましたけど、やっぱり人間ってどうしても、生理現象や体調によって仕事の効率が落ちるときがあるじゃないですか。

それを私は気合で乗り越えようとして、同じことをスタッフにも押しつけていた。その間違いに気づいてから、人間には自分の意思でコントロールできない部分があることをちゃんと認めて、許容するようにしたんですね。

すると、スタッフの仕事のミスも減って、辞める人も少なくなっていったんです。うちのスタッフを見ていると、管理された体制のもとで仕事していると、余計に自分を苦しめて、それでしんどくなって仕事の効率も悪くなるんじゃないかと。

――具体的には、働き方をどのように変えたのでしょうか?

金田:いまは、「自分が最善の状態でいるために、きちんと休もう」という考え方に基づき、突然の欠勤にも対応できるようにシフトを工夫しています。私がスタッフにお願いしているのは、1か月あたり170時間働くということだけ。それをどう達成するかは、個人に任せています。

――シフトを決めるための、独自の社内システムも開発したそうですね。でも、全員の希望どおりにシフトを組むのはなかなか難しそうです。

金田:できるだけ希望を叶えるために、「ポイント制度」というものを採用しています。毎月一定のポイントを社員に付与していて、「ここは絶対休みたい」という日は、ポイントを消化することで優先的に休日を獲得できるんです。そうすることで100%とはいわないまでも、95%くらいの希望は叶えられているんじゃないかなと思います。

でも、このシステムを開発した理由としては、スタッフのためというよりも、スタッフの不満をできるだけ減らしたいという私の思いが強かったかもしれません。

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