悟空のきもち代表が語る、管理職不要論。働く力は「フラットな環境」が育てる

悟空のきもち代表が語る、管理職不要論。働く力は「フラットな環境」が育てる

2019年2月18日公開

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「自己管理」型の働き方を徹底したことで、入社を希望する女性が増えた
――以前はどのようにシフトを決めていたんでしょうか。

金田:昔は、悟空のきもちにも役職があったんです。管理職の人がスタッフの希望を聞いてシフトを決めていたんですね。でも、その業務を負担に感じる管理職も出てきました。私としては、そういう負担やシフト調整によって生じるスタッフ間の不公平や不平不満を極力なくそうと思って、管理職のポジションをなくし、シフトを決めるシステムを開発したんです。システムにはルールがあるので、公平ですよね。

また、各スタッフに売上目標を課すこともありません。稼ぎたい人はたくさん出勤すればいいし、そうでなければ規定の時間分だけでいい。接客業では犠牲にされがちなプライベートを、自分次第で充実させることができます。そういった「自己管理」を徹底した経営方針にしたことで、スタッフに心のゆとりが生まれ、物事の視野も拡大しました。それが、会社の成長の原動力にもなっています。また、この方針に賛同して、入社を希望する女性も増えましたね。

――そもそも従業員を女性だけにしようと思ったのは、何がきっかけだったんでしょうか。

金田:私自身が会社で働いていたとき、男女がいるとどうしても、仕事に関係のないところでいざこざが生じてしまいがちだと思いました。たとえば飲み会で、上席にいる男性の隣には「女の子が座って」とか、「女性は笑っていたらだいたい気に入られるから」とか言われることがあって。

そんなことが増えるにつれ、会社では仕事を頑張るだけじゃなく、愛嬌があってみんなに好かれないと、うまくやっていけないんじゃないかと思うようになりました。

――そういうテクニックのようなものをうまく使っている女性も男性もいますね。

金田:その状態にすごく違和感があったんです。本質的な仕事のスキルや能力以外のことで気を揉まなければならない状態が続くと、やっぱり精神的に辛いと思うんですよね。
会議・朝礼・終礼をやらないことで、人間関係のトラブルを避ける
――どんなにフラットな組織だとしても、人間関係のトラブルは起きてしまうように思います。

金田:そのリスクをできる限り減らすため、悟空のきもちでは、会議・朝礼・終礼といったコミュニケーションの場を設けることはありません。シフトもそうですが、苦手な人とのコミュニケーションを避けられる仕組みにすることで、人間関係のトラブルをできるだけ減らすことができます。

――悟空のきもちという会社を経営されていて、「社員が働きやすい会社」って、どんなものだと思われますか?

金田:みんなが好きなことをやれる会社だと思います。「好きなことだけやらせたらうまく回らないのでは」と思われるかもしれないですが、実際に「170時間働けばいいから、あとは好きにやってください」という制度を試してみて、意外と会社はちゃんと成り立つことがわかりました。

――前回、パソナで働く女性にインタビューしたときに、「管理職になって責任で押しつぶされそうになってしまう女性が多いけれど、そんなときはもっと周りに協力してもらうといい」とおっしゃっていました。

金田:うちのスタッフにも、「ちゃんとやらなきゃ」というプレッシャーを強く感じてしまう人は多くいます。周りが協力することはもちろん大事ですが、その人の「働く力」を最大限に引き出したいのなら、性別に関わらず、まずはそれぞれの性質やモチベーションの源を解き明かさないといけないと思います。

企業にありがちなのは、「真面目に働いてくれる女性こそ管理職に向いている」と決めつけて、管理職にしたがるんですよね。でも、真面目な人が自分の仕事の向き不向きもわからないまま管理職をやると、プレッシャーばかり感じてしまい、逆に力がうまく発揮できないこともあり得ると思うんです。

――最後になりますが、現在は女性活躍推進法により、管理職として働く女性も増えています。一方で、悟空のきもちのスタッフのように、一人ひとりが主体性を持って働くことも求められてもいます。そのような状況のなかで、今後、女性が活躍していくためにはどのような働き方が望ましいと考えますか?

金田:大雑把に言うと、男性のほうが野心的で、女性のほうが母性とかに代表されるように、守りたいって感情は強いと思います。自分や家族・子供の未来などは絶対そうで。管理職になると組織も守るものに追加されちゃうことになる。組織を守りたいと思ってないのに、守らされると、管理職になった女性にとっては本当に辛い。

でもただひとつ言えることは、守るだけに専念すると、およそジリ貧になっていく。そこが女性が苦しみやすいところだと思います。

女性が活躍する社会をつくるために必要なのは「守備的な前進」だと思うんです。仕事のなかでも、私生活でも、次々と新しい守りたい価値が生まれ、増え続ける守りたいに応えるために、前進していく。

きっとそれが理にかなっていると思います。私生活の愛でも恋でも、仕事のやりがいでも、なんでもいい。守りたい! と思える未来を、企業も社会も、私たち女性自身も増やし続けること。これが女性の社会進出や躍進の鍵だと思います。

人気をいただき、悟空のきもちという会社も、スタッフも、いま社会で躍進してるように見えるかもしれませんが、ただの「守備的前進」です。守りたい未来が増えすぎていく成長こそが、女性にとってスムーズな道だと考えています。

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