ミニマリスト・尾崎友吏子の買いもの術④家選びで失敗しないコツとは?

ミニマリスト・尾崎友吏子の買いもの術④家選びで失敗しないコツとは?

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仕事や子育てに忙しく、つい安くて便利なものをたくさん買ってしまう……。けれど、それって本当に必要なもの? 男の子3人を育てるワーママ・ミニマリストの尾崎友吏子さんに、豊かでゆとりある生活に向けた「本当に大切なものを見つけるお買いもの術」を教えてもらいました。
第4回は、つい大きいサイズのものに惹かれがちな「家具・マイホーム」がテーマ。収納は大きいほうがすっきり暮らせそうだし、家は広いほうが毎日くつろげそう。そんなふうに思っている人は少なくありません。では、不動産会社での勤務経験もある尾崎さんの見解とは?
家具は売るのも捨てるのも大変。選ぶときのポイントとは?
衣類や雑貨などと比べて、より「買いものの失敗」を避けたいのが家具。気軽には買えない価格のものを手に入れても、買った値段以上に高く売れることは稀です。しかも不要になったときには、捨てるのであれば粗大ゴミとなり、自治体によってはお金がかかることもあります。大型家具の場合は、ゴミ捨て場に運ぶだけでもひと苦労です。

家具は、売りにくく、捨てにくい。だから、購入時に妥協せず、「できるだけ長く愛用できそうなもの」「処分するときは人に譲ったり、売ったりしやすいもの」を選ぶことが大事です。私の場合、家具を買うときはこんなことに気をつけています。

・ブランド品(名の知れたメーカーのもの)
大きい家具は送料もかかり、オークションでは売買しにくいものの一つ。ブランド品なら、買い手が商品の状態を把握しやすく、売りやすくなります。

ここでいうブランド品とは、いわゆる「高級品」を指すのではありません。メーカーの名前が、商品の品質を示す指標となっている家具のことです。たとえば、「IKEAの○○」「無印良品の○○」といえば、買い手は容易にその品質を想像できます。現行品であれば、店舗で実物を確認することも可能です。無名のメーカーの高価なものよりも、どういうものかわかりやすいので、人に譲りやすいのです。

引越しの際、子どもが使っていたベッドをオークションサイトで売却したのですが、「何年製の無印良品のベッド」と明記したところ、あっという間に買い手がつきました。高値を期待することはできなくても、譲る先があり、少なくとも「粗大ゴミにならない」という安心感を持つことができます。

・サイズの小さいもの
大きい家具は、置く場所を選びます。今の住まいに置くことができても、家や住まい方が変わったとき、大きければ大きいほど置く場所に困って、捨てることになる可能性が高くなります。小型なら、別の場所や用途で使うこともできます。

その点、パーツを組み立てるタイプの家具は、大きくも小さくもなり、多用途で便利です。パーツを拡張して、大型に使うこともできれば、その使い道がなくなったとき、分解して別の場所で小さく使うこともできます。

わが家に新婚当初からあるスチールラックは、パソコンラックから書斎用のテーブル、キッチン収納、押入れ収納、ベランダ収納へと、引越しや間取り変更のたびに、形や用途を変えてきました。現在では、クローゼットと子ども部屋に使っていて、いまだ現役です。

スチールラックはさまざまな用途、場所で使えてとても便利
・「古美る(ふるびる)」素材
使い込むほど、その古さが美しさを醸し出す素材。そうした素材を使った家具は、経年変化やお手入れの楽しみがあり、すぐに飽きることがなく愛着がわきます。売るときも、アンティークやビンテージとして需要があります。無垢材の木製品なら、そのまま使用したり、ペイントしたり、さらにヤスリで塗料を落としてふたたび木肌を出すなど、表面仕上げを変化させることもできるので、おすすめです。

・土に還る素材
複合的な素材でつくられた工業製品は、自然に分解されなかったり、分解するときに環境に負荷がかかったり、分解に手間がかかったりするものが多くあります。流通している多くの建材や家具は、ほとんどがそうした製品。不要になったときに、最終的にどこに行くか、考えてみます。未来の地球をゴミだらけにしたくないと思いませんか。たとえば、接着剤の使用の少ない木製品は、いざというときに薪として使うことができます。

・「その収納家具は必要か?」
不要なものを持たないようにすれば、それらを収納する家具はそもそも不要です。購入を検討する前に、「収納するものが、いまの暮らしに必要かどうか」を考えてみることが、一番大切だと思います。

使い込むほどに趣を醸し出す美しい道具は、インテリアとしても様になる
業者やメディアに踊らされて、「豪邸」を理想化しすぎていないか
あらゆる買いもののなかで、もっとも後悔を避けたいのは「家」でしょう。家を買うときには、ローンを組んで買う人が大半だと思います。高いものを、一生涯の収入を投じて買うのに、「そろそろ家を買う年齢になった」「子どもが小学校にあがるまでに買う」「賃貸は体裁が悪い」など、当人が必要でない、または適当でない機会に買う人のなんと多いことでしょう! 私が不動産業者に勤めているとき、思っていたことです。

それでも、買う人、借りる人はお客様。高い物件であればあるほど、不動産業者の売上は上がるのだから、「一生の買い物なのに、そんなにちっぽけな家でいいの?」とばかりに、「広い物件」「高額な物件」「豪華な物件」を勧めるのは当然です。売り手側も、営業売上のことだけを考えているわけではありません。営業マンは、本気で「広ければ広いほど良い」と考え、お客様に勧めます。でも、それが必ずしもお客様の「必要」なものと合致しているわけではないのです。

宣伝には、そうした売り手側の意向しか反映されないもの。そして、不動産関係の会社は、新聞や雑誌、テレビなどのメディアのスポンサーとなっていることも多いので、「持たなくていい」「買わなくていい」「小さくていい」という声は、気をつけていないと聞こえてきません。

維持管理のコストも高くつく! 大きい家は「金喰い虫」
家の価格が高ければ高いほど、物件自体の価格に加えて、初期に必要な不動産業者に払う手数料、不動産取得税なども高くなります。費用がかかるのは、買うときだけではありません。モノ全般に言えることですが、何かを所有すれば、維持管理のコストもかかります。

家であれば固定資産税、火災保険料、光熱費などが必要となり、価格の高い家ほど維持コストも高くなるのです。そして、住み心地のよさを維持するためには、掃除や整理整頓、定期的なリフォームが欠かせません。家事の労力は金額として換算できませんが、広い家や高額な家であれば、手間もそれだけ大きくなります。「お金」だけがコストではなく、買ったものを手入れする「労力」「時間」もコストです。

不動産を「資産」と考える人もいますが、新築などで買った場合、必ず上物(建物)の評価額は年数とともに下落します。つまり、不動産は多くの場合「目減りする資産」(値上がりする不動産は稀)といえます。

もちろん、広い家が必要な人や、広い家に住むことで幸せを感じる人は、広い家を選ぶべきです。問題なのは、広い家を買うことで、他の必要なものを十分に買えない、または支払いが難しくなるなど、デメリットが増えるケース。以前より経済が不安定な世の中となり、未来が不確実になっているいま、長期のローンを組んでも、みなが安心して払いきれるという保証はありません。

子どもが巣立ったあと、以前のように広い家はいらなくなった。でも、いまあるのは、ローンが残っていて売却できない築35年の古い家。お金がないからリフォームもできない。そんな話は、もはや他人事ではありません。近年、大学進学のために奨学金制度を利用する家庭は、50%以上にのぼります。必要と思う子どもの教育に、十分な資金を用意できない家庭が増えているのです。収入が限られるなら、家にばかり出費せず、生涯の支出のバランスを考える必要があります。

人生で一番「失敗したくない買いもの」をするとき、大事なこと
いくら広い家を手に入れても、経年による老朽化や、暮らす人のライフスタイルの変化は避けられません。将来ほしいのは、「がらくたばかりが詰まった、古くて大きい家」ではないはず。そうならないために、買う前にこんなことを考えてみてください。

・家も「一生もの」と思わない
生涯のうちで何度も自分の住む不動産を買える人はわずかだと言われています。「一生もの」と思うと、つい必要以上に贅沢な間取りや設備を選びがち。でも、家族は成長し、変化します。子どもの人数が増えても、やがては減り、自分も年老いていきます。

適した住まい方は、ライフステージによって変化します。いまのニーズが、30年後のニーズとは限りません。住み替えやリフォーム、貸し出すことを視野に入れ、「住まいにいまの暮らしを合わせる」のではなく、「いまの暮らしに住まいを合わせる」ほうが、快適に生活できます。

・必要以上に広い家を選ばない
子育て中は部屋数が必要ですが、子どもが家にいるのは20〜30年くらい。それ以降の生活のほうが長いのです。子どもが巣立ったあとのことも考えましょう。家が広ければ、掃除も大変です。忙しい子育て期に家を手入れする時間や、ローンの支払いのために働く時間が増え、子どもと関わる時間が奪われます。ゆとりとは、家が広ければ広いほど得られるものではありません。

・売りやすい物件を選ぶ
不動産は、服を選ぶように「好きだから」を理由に選ぶと、価格がつかず、売却しにくくなることがあります。手に入れるときは、売るときのことも考えたいものです。便利な場所、駅から近いなど、売りやすい物件には条件があります。持ち方によっては、「資産」にも「負債」にもなりうる不動産。その違いを分けるのは、「売るときの価値」です。

住み心地のよしあしは、「箱」だけでは決まらない
家で長い時間を過ごすのは、自分と大事な家族。家やインテリアを選ぶときには、資産価値や虚栄心よりも、まず住む人の住み心地・使い心地を重視します。そうすることで、家族が豊かな気持ちで生活できるようになります。片づけや掃除など、手入れをするときも、お客様目線より家族の心地よさを優先すれば、おのずと来客時に慌てなくて済むようになるでしょう。

豊かさやゆとりは、家の広さや豪華さでは得られないもの。住み心地は、家という「箱」だけで決まるものではなく、手入れされた空間でこそ得られるもの。つまりは、「何に住むか」ではなく、「いかに住むか」で決まります。

手入れが行き届き、大切なものだけに囲まれた部屋は、心地よいホテルの一室のように、日々の疲れやストレスを癒してくれます。身の丈に合った暮らしは、自宅で心からリラックスすることができ、取るに足らない日常のなかにも、豊かさや喜びを見出しやすくなるはずです。
プロフィール

尾崎友吏子(おざき ゆりこ)
夫と高校生、小学生、幼稚園児の男子3人、5人家族のワーキングマザー。モノもコトもミニマムにした、自然に優しいシンプルな「小さな暮らし」の生活を伝えるブログ『cozy-nest 小さく整う暮らし』を2012年7月から運営。2016年、『3人子持ち 働く母の モノを減らして 家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)を出版。
http://www.cozy-nest.net/

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