共働き家庭のマネジメント術③キャパオーバーの夫婦を救う、家事育児の気楽な「頼り方」

共働き家庭のマネジメント術③キャパオーバーの夫婦を救う、家事育児の気楽な「頼り方」

2017年5月25日公開

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いま日本では、女性の社会進出や雇用不安などによって、共働きで子育てをする夫婦が増加。しかし、仕事に育児、家事と、多忙な生活を送る夫婦には課題も多く、「喧嘩が絶えない」「コミュニケーション不足」だと嘆く声は、男女ともに聞こえてきます。家庭を一つの「チーム」と考えたとき、夫婦でどうマネジメントしていくのが良いのでしょうか。

そこで、NPO法人ファザーリング・ジャパン(「父親であることを楽しもう」をコンセプトに全国で父親支援をしている団体)理事の林田香織さんに「共働き家庭のマネジメント術(全5回)」について連載していただきます。

今回は共働き夫婦のストレス原因になりがちな「家事負担」を、気持ちよく解決する方法を紹介します。「夫婦だけで頑張る」と抱え込むのではなく、各家庭に合ったリソースを見つけて、多忙な日々を乗り越えましょう!

撮影:川上秋レミイ 撮影協力:くまさん家( https://www.kumasanchi-shimokita.com/
共働き夫婦は「二人で頑張る」ではなく、「頼る」気持ちを持つことが大切
子育て中の共働き夫婦は、仕事に家事に育児にとやることが山積みで、時間に追われる毎日です。夫婦だけでは手が足りず、時間的にも精神的にもキャパオーバー。お互いに余裕がなくなると、夫婦関係もギスギスしがちです。それならば、「夫婦だけで」という考え方をやめてみませんか?

最近は3世代で暮らす世帯の割合は年々減少し、児童のいる世帯の75%が核家族です。定年後も働き続けている子育て世代の親も多いため、実家を頼りにできない家庭がほとんど。また、近所同士のつき合いも以前に比べて希薄になっているため、「実家も近所も頼れないなら、やっぱり夫婦で頑張らなくては!」「パパを巻き込めないから、一人で頑張るしかない」と、抱え込んでしまうワーママが多いんです。これがいわゆる、「ワンオペ育児(ワンオペレーションのように、一人で家事育児をこなしている)」という現象です。

キャパオーバーの共働き夫婦に必要なのは、「二人だけで頑張る」ことではなく、「ほかに頼れるリソースを見つけ、頼ること」なのです。夫婦以外の戦力が増えれば、夫も妻も時間と気持ちに余裕が生まれ、精神的にもラクになれます。最近では、自分の両親などの従来型サポーター以外のリソース(資源)も増えています。今回は自分たちのスタイルにあった無理のないリソース活用と、子どもの自己肯定感を育みながら家事もこなす一石二鳥な、家庭マネジメント術をご紹介します。

時間と気持ちに余裕をつくる、夫婦以外の「5つのリソース」とは?
家事育児の両立研修やセミナーに参加してくださる共働き夫婦の皆さんには、夫婦二人が大変なら多様なリソースを活用して「チームわが家」として連携型の子育てをしよう! と提案しています。夫も妻も仕事と家庭を無理なく両立できる体制を構築することで、心に余裕ができ、子育てだけでなく仕事にも前向きになれます。でも「頼る」って意外とハードルが高いですよね。そんな方でも気軽に取り入れられそうなリソースを以下の5つのポイントに分けて紹介します。
1・買い物、子どもの送り迎え、家事などを「行政・民間サポーター」に頼る!

子どもが3人もいるわが家の買い物の味方は「生協」。牛乳やお米など、消費の早い商品は注文しなくても毎週届くようにしています。保育園の送り迎えには、市区町村で実施しているファミリーサポート(子育てを地域住民同士でサポートし合う組織)を利用している共働き家庭もいます。保育園の登園時間の前に出社しなければならないときや、仕事でお迎えに間に合わないときなどは大助かりです。また、ちょっと割高ですが民間のシッターサービスを利用するのも良いでしょう。

家事代行サービスを活用する人も増えています。民間のサービス以外にも自治体のシルバー人材センターでも人材を斡旋しています。「ハードルが高い」と感じるかもしれませんが、1回使ってみると「手放せない!」と思う人も多いよう。最近では金額もずいぶん手頃になっていますので、まずは半年に1回、数か月に1回程度から始めてみるといいかもしれません。

2・家事の一手間がなくなる「家電・テクノロジー(IT)」に頼る!

乾燥機能つき全自動洗濯機、食洗機、ロボットクリーナー、ハンディー掃除機など、共働き夫婦に役立つ便利な家電はたくさんあります。最近では多機能なのに比較的安価な優秀家電が増えているので、ぜひ活用してみてください。「夫と一緒に家電を選んだことで、夫が家事を積極的にやるようになった!」というケースも多く、楽しみながら夫を巻き込む機会にもなります。

また、夫婦間のコミュニケーションを効率よく、確実にするために、スマホのGoogleカレンダーやアプリで家族のスケジュールを一括管理している夫婦も増えています。また、スケジュールだけでなく写真やメッセージを共有できるアプリ(Lifull FaMなど)もあります。テクノロジーを上手に活用し、連絡を円滑にすることは、大切な夫婦の会話時間を確保することにもつながります。

3・信頼する「保育園、幼稚園、学校、学童の先生」を頼る!

保育園や幼稚園、学校や学童の先生も強い味方。子どものことで気になることがあれば相談するなど、「チームわが家」の一員としてしっかりサポートしてもらいましょう。先生との信頼関係の構築は、共働き夫婦の子育てのカギとなることでしょう。

そして共働き家庭にとって一番困るのが、子どもの病気の対応です。そんなとき、頼りになるのが「病児保育」。病児・病後児を医療機関の保育室に一時的に預けることができます(事前登録や医師の診断書が必要)。「いざというときに頼りにできる場所がある」というだけで不安は解消され、仕事にも前向きになれますよね。最初は利用に抵抗があるかもしれませんが、登録しておくだけでも、気持ちがぐっとラクになりますよ。

4・いつでも味方でいてくれる「家族内サポーター」を頼る!

いろいろなリソースが増えても、信頼感ナンバー1の両親(じいじ・ばあば)はやっぱり頼りになります。同居や近居の場合は日常的に頼りにでき、遠方の場合も出張の際や期間限定的に呼び寄せてサポートしてもらうことも可能です。「子どもも、じいじたちに会えるのをとても楽しみにしていて」と、家族みんなが頼りにしていることを伝えると嬉しいはず。また、頼るばかりではなく、お互い様になるようなちょっとした配慮も必要です。私は、写真共有アプリを活用して毎月両親に子ども達の写真&メッセージつきのカレンダーをプレゼントしています。

5・職場仲間やママ友を「家族外家族」として頼る!

近所のパパ友、ママ友、親しいご近所、職場の仲間などが、家族のような存在(家族外家族)になる可能性は大! 普段からのコミュニケーションでお互いの状況を把握し、助けてもらうばかりではなく、「お互い様」になるような関係づくりが重要です。

ポイントは自分から先にサポートすること。その実績があれば、いざというときに頼みやすくなります。「お互い様感」を感じていれば、お互いに気持ちよくサポートすることができます。最近では地域の共働き家庭を繋ぐ「ワーママ会」の活動も活発になっています。そのようなコミュニティーを通して仲間を見つけるのも一案です。

これら5つのサポーターがすべて必要なわけではなく、1つだけでもOK。自分たちに合う体制づくりを少しずつ試してみましょう!

「チームわが家」のイメージ図
いまの家事を見直して、「スリム化」してみる
また、家事育児を一度整理してみるのもおすすめです。自分たちが抱えている家事育児を棚卸しして、誰がどれだけ担っているか、どの項目が負担となっているかを「見える化」しましょう。最近は以下のような家事育児を見える化したツールも紹介されています。ぜひ活用してみてください。

夫婦が本音で話せる魔法のシート「○○家作戦会議」(内閣府)
夫婦が理想の家庭にするための作戦会議シート。2人の未来図や気持ちをシートやカードにまとめたもの。


「共働き家事育児100タスク表」(AERA)
家事育児のタスクを細かく一覧にしたもの。日々のタスクを見える化するだけでなく、2人の分担を決めるのに役立てられています。

見える化のあとは、家事のスリム化に挑戦! たとえば、掃除機を毎日かけているなら2日に1回にして、気になるところだけハンディー掃除機やクイックワイパーですませる。忙しい平日は簡単な主菜と常備菜を一つのお皿に盛りつけたワンプレートディナーにして洗い物を減らすなど、ちょっとした工夫で家事の負担を軽減することができます。共働きのわが家はいまも手抜き家事で乗り切っています(笑)。肩の力を少し抜いてみると、気持ちもラクになりますよ。

家事をスリム化したり、夫婦でシェアしてもうまくいかないものは、仕事やお子さんの状況に応じてその都度、見直していくことが大切。きちんとやろうとすると疲れてしまうので、ある程度フレキシブルに考えて行動してみてください。
子どもも家族の一員として活躍することで、自己肯定感がアップ!
ここまで夫婦外のサポートや家事のスリム化などを紹介してきましたが、最後に「子どもの活躍」についてお話します。

子どもが2、3歳になる頃には、家族の一員として強力なサポーターになります。たとえば、洗濯物を干すときに手渡してくれたり、おもちゃを片づけてくれたり。タオルくらいなら一緒に畳むこともできますし、玄関の靴だってお願いしたら張り切って並べてくれます。

海外の子どもに比べて日本の子どもたちの自尊感情は、自己有用感(人の役に立った、感謝されたという思いによって自分を肯定的に捉えること)を経験することで高まるという調査結果があります。大好きなパパとママの役に立ったという経験をすればするほど、子どもの自尊感情は高まるということです。

それには、私たち親が子どもの力を信じて「頼る」ことが大切です。子どもが手伝ってくれたら「よくできたね」ではなく、「ありがとう! 助かった!」と感謝しましょう。きっと、子どもは家族の一員としてもっとパパとママの役に立ちたい! と思うはずです。

子どもが安心して生活できる環境を整えるのは親の大切な役割です。でも、完璧を求めるあまり、パパとママから笑顔が消えてしまっては意味がありません。子どもも大切な「チームわが家」の一員として協力してもらいながら、家族みんなが笑顔でいられる体制づくりを見つけてみてください。
プロフィール

林田香織(はやしだ かおり)
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。NPO法人コヂカラ・ニッポン理事。ロジカル・ペアレンティングLLP代表。お茶の水女子大学大学院修士(家族社会学)。日米の教育機関において、長年にわたり日本語教育(高校・大学・ビジネスマン向け)に従事。8年の在米期間を経て、2008年帰国。自治体、企業において、両立支援セミナー、配偶者同伴セミナー、夫婦向けコミュニケーションセミナー、管理職向けイクボスセミナーなどの講師を多数務める。プライベートでは九州男児の妻、3人の男の子のママ。
http://fathering.jp/

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