PTA活動は仕事に役立つ? 会社員パパが『ある日うっかりPTA』で学んだこと

PTA活動は仕事に役立つ? 会社員パパが『ある日うっかりPTA』で学んだこと

2018年3月29日公開

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文:牛島 伸介(CHIENOWA)
私もうっかりPTA、はじめました
いままでPTA活動に携わったことがないパパ(著者)が、あるきっかけで突然、小学校のPTA会長に就任! 本書『ある日うっかりPTA』は、そのパパ会長が、経験したことのない「PTAという海原」で、流されたり嵐にあったりしながらも、3年間「船長」として乗り切ったお話を一冊にまとめたもの。「PTAの常識 その〇〇」という記述で36のエピソードが語られています。

「この本、パパみたいじゃん!」

この表紙を見た小学校5年生の娘は、こう言って笑いました。そう、私は著者と同じように、小学校のPTA会長を2年間務めたのです。

私がPTA会長になったきっかけは、前任の会長がパパ友だったから。あるイベントの打ち上げ後、午前2時ごろのバーで、「来年、PTA会長いないんだよね。牛島さん、やってみない?」と誘われました。著者と同様、少しうっかりものの私は、お酒のチカラもあって「いいですよ。お任せください」と無邪気に返事してしまったのが、貴重な2年間の始まりでした。

前任会長は自営業で、比較的時間の融通が利く人でしたが、私は普通の会社員。家族の理解に加え、当時、私を自由にしてくれる懐の大きい上司の協力もあり、PTA活動に参加することができたのです。

PTA活動の基本はまるで、会社での業務の進め方と同じだと感じました。さまざまな考え方を持つ周囲の仲間とコミュニケーションを取りながら、どれだけ効率よく動けるかがカギとなるのです。私はこのPTA会長として過ごした2年間の活動を「無料の実地研修」として、仕事に役立てています。
「がんばらないことをがんばる」くらいがちょうどいい
この本はPTA活動の中身を、経験者の目線からわかりやすく解説しているため、「PTAってそもそも何をするんだろう?」と不安に思っている人にも必読だと思います。

基本の活動内容のほかにも、PTAになったら、どんな心持ちでいればいいのかについても述べられています。なかでも、第5章「PTA裏のテーマ」で紹介された次の言葉に、とても共感しました。
「がんばらない、をがんばろう」
私が会長になったとき、私以外の役員はほとんどワーママでした。PTAの業務は、いくらでもやることがあります。子どもたちのために何でも一生懸命やる人たちの集まりなので、ついつい自分を犠牲にして、無理してしまいがち。そこで、私も「がんばらないことをがんばることが大事だな」と、まさに著者と同じことを考えました。少し長いですが、著者の言葉を引用します。
「人間、できないことを無理してやろうとすると、自分を責めたり、他人を非難したりしたくなっちゃいますよね。それだと一年間長続きしませんから、どうしてもやらなくちゃいけないことはがんばるけど、努力しても駄目そう、とか、ここで無理するよりは他のところで力を使ったほうがいいかも、とか思ったことは、人間関係をぎすぎすさせてまでやることはない、という考え方です。

PTAって、やらないといけない団体ですけど、全部のことを全力でがんばらなくちゃならないほど、がんばらないといけない団体でもないみたいなんです」
もし、活動に不安があったり、大変だと落ち込んでいたりする人は、この「がんばりすぎない」という考えを持ってPTAと向き合ってほしいです。

これは仕事でも同じなのではないでしょうか。すべてに100%の労力をつぎ込んでいたらとてもじゃないけど身体も心も持ちません。また、人間関係を上手に築きながら、ときには不要な業務を切り捨て、優先順位をつけて仕事をこなしていくスキルは重要だと思います。PTAはそんなことを実地で経験できる場だと思いました。
結局みんな子どもたちのために
本書のなかでちょっと爽快だったエピソードがあります。炎天下で行われた区の催しで、偉い人たちのあいさつを長時間、子どもに聞かせることに疑問を持った著者が、教育委員会の教育長に対し、「子どものことを第一に気遣ったイベントにしてほしい」という手紙をぶつけたというのです。

「PTAは子どもたちのため」と言いながら、運営に傾倒するなかですっかり「大人のため」になってしまい、主役である子どもたちを置いてきぼりにしていることは、どの学校もよくあることだと思います。

毎年子どもたちにとても好評な地域のお祭り(イベント)があるのですが、ちょっとだけ残念なことがありました。私たちの親世代(つまり70歳前後)が仕切っているので、お菓子やおもちゃのチョイスが、渋すぎるというもの……(苦笑)。そこで、私が実行委員長となり、「われわれPTAがメインで仕切らせていただきます」と声をかけて、お菓子の買い出しや事前準備を整理したところ、子どもたちにいっそう大好評のお祭りになりました。

このように、子どもたちのためになることは、古いルールに縛られることなく、どんどん変えていくのがPTA活動の基本だと思います。
PTAを「罰ゲーム」と思うか、「成長の機会」と思うかはあなた次第
2年間のPTA活動を振り返ってみると、あっという間でしたが、楽しかったと思います。ときにはある役員(ママ)から批判めいたことを頂戴して落ち込むこともありましたが、まわりの人たちの「良いところ」を見つけて、なるべく笑顔で明るくいようと努力してきました。できることは精一杯やるけど、できないことは周りに任せる。そしてすべては子どもたちのためにと、自分なりに走りました。
「PTAは必ず卒業するものです」
著者がそう語るように、次々と人員や役割が入れ替わるからこそ、「組織」というものは続いていくのだと思います。与えられた有限の時間内で自分が最善の役割を果たし、最善を尽くしたうえで後進に譲っていくというのは、PTAの組織でも、会社の仕事でも共通します。

PTA会長として卒業式で挨拶する執筆者。感慨もひとしお
そして著書は最後に次のように結んでいます。
「PTAに参加することで、自分でも知らなった内側の扉が開いたような気さえする。みんな、子どもがいなかったらできなかった体験だった。わが子には感謝してもしきれないのである、本当にありがとう」
小学生のお子さんがいるパパやママが会社員なら、おそらくリーダーやマネージャーとしてチームを任されていることも多いのではないでしょうか。「忙しくてPTAなんてできない……」。そんな人にこそ、PTAを経験してほしいと思います。未経験の仕事への挑戦、限られた時間の使い方、そして異なる考えを持つメンバーと一緒に一つの目標に向かっていく、といった経験が、間違いなく本業に役立ちます。

だから、PTAの役員に推薦されたら、どうか「ゲッ」と思わずに、ポジティブに受け止めてほしい。

会社勤めだと、普段の仕事ぶりを子どもに見せることは少ないけれど、PTAの活動を通してなら、働く姿を直接、子どもに見せることができます。リビングや食卓で見せる顔とはひと味もふた味も違う姿が、かっこよく映るはず! PTAでリーダーシップを発揮するもよし、機転を効かせてうまく誰かを助けるもよし、失敗してもポジティブに挑戦するもよし、子どもたちは、パパやママががんばっている姿を必ず見ています。

著者や私のように、「うっかり」から始まってもいいんです!(笑) がんばりすぎない程度に、かっこいい姿を見せてあげてください。

『ある日うっかりPTA』

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著者:杉江松恋
出版社:株式会社KADOKAWA
プロフィール

牛島 伸介(うしじま しんすけ)
株式会社キュービタス オペレーション推進部所属。中学1年の男の子と小学5年生の女の子のパパ。息子が5年生のときに、自身の母校であったことをきっかけに推薦され、うっかりPTA会長に。「ママと現役PTA会長が語る、私たちが『働きながら委員活動』に参加する理由』にも登場。

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