夜間の急な病気に慌てない。現役医師によるサービス「ファストドクター」とは

夜間の急な病気に慌てない。現役医師によるサービス「ファストドクター」とは

2018年7月4日公開

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夜間、突然子どもが発熱してしまった。遠方に暮らす親から、体調を崩してしまったと連絡が入った。そんな予測不可能な状況に慌ててしまった経験はありませんか? これらのトラブルは、誰の身に起こってもおかしくないもの。けれど、とっさの事態に、冷静な対処ができる人はそう多くないでしょう。


「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、トラブルに対し落ち着いて正しい対処をするためには、日頃の準備が必要です。しかし、それを理解していたとしても、まずなにをすべきかわからないのも事実。


そこで今回お話を伺ったのは、夜間時の救急往診サービス「Fast DOCTOR(ファストドクター)」の副代表を務める、現役医師の名倉義人さん。万が一のときに備えて、私たちがしておくべきこととは。日々、救急往診に勤しむ名倉さんが目の当たりにした現実、そして、肌で感じている医療現場の課題について教えていただきました。


取材・文:五十嵐 大 撮影:玉村 敬太
プロフィール

名倉 義人(なぐら よしと)
医師。専門は救急医学、内科、整形外科。平日昼は横浜市の東戸塚記念病院に、20時以降は新宿区にある四ツ谷ホームクリニックに勤める。2016年に代表者・菊池亮先生と「ファストドクター」を立ち上げ、新しい在宅診療サービスの提供を推進している。
Fast DOCTOR【保険適応】東京,埼玉,千葉の夜間診療ならファストドクター
突然の病気に慌てないために、日頃の情報収拾が不可欠
―夜間に家族や自分が体調を崩してしまった場合、大抵の人は慌ててしまい冷静ではいられません。そんなときに備えて、普段から心がけておくべきことはありますか?


名倉:とっさの事態に冷静でいられなくなってしまう原因には、「知識不足」もあると思うんです。対処法を知っていれば、そこまでびっくりすることもないはず。なので、まずは日頃から情報収集しておくことが肝心だと思います。


たとえば、子どもが嘔吐してしまったときは、大抵、緊急の感染症、つまり風邪や胃腸炎であることが多いんです。その場合、自宅での対処で問題ないことがほとんどなので、事前知識の有無は重要ですね。


ただし、注意も必要です。インターネットには、医療の知識がないライターさんが書いているんだろうな……と思う記事も見受けられます。仮に医師が監修している場合でも、ちゃんと確認せずにOKを出している可能性も否定できません。そういったウェブサイトの情報を鵜呑みにして、間違った知識を身につけてしまうのは危険です。医師本人がクリニックのオフィシャルサイトで書いている記事など、信頼性の高い情報を選び取ってもらいたいです。


また、お住まいのエリアで緊急時にかかれるクリニックについて調べておくのも大事ですね。いざというときは調べている余裕なんてないですから、普段からリサーチしておくことで、緊急時にも落ち着いた対処ができると思います。

現役医師の名倉さん
―まずは日頃から病気の知識を仕入れておくことが重要なんですね。


名倉:それが大前提ですね。それと、最近のご家庭には少ないかもしれませんが、やはり救急箱を用意して、市販薬を常備しておいたほうがよいでしょう。患者さんのなかには、市販薬は効かないものだと思いこんでいる方もいるのですが、じつは処方薬と市販薬の成分はほとんど一緒。効果もほぼ同じです。だから、思い込みを捨てて、風邪薬、胃腸薬、解熱剤、万能的に使えるロキソニンなどは常に用意しておくべき。火傷や切り傷など、外科的な治療に使える、絆創膏や消毒薬もあるとベストですね。


「市販薬は高いから」と購入を嫌がる方もいらっしゃるかもしれませんが、2017年1月からは「セルフメディケーション税制」というものが施行されていて、一定額以上の市販薬を購入した方は所得控除を受けられるんです。そういった行政の制度を利用することで、経済的な負担を抑えることもできます。
深夜でも、プロに電話相談できる方法がある
―そういった事前準備をしていても、救急病院での治療が必要かどうかを見極めるのは、一般人には難しいところがあります。その判断はどうすればいいのでしょうか?


名倉:いきなり救急車を呼ぶのではなく、まずは東京消防庁が開設している「救急相談センター(#7119)」へ電話をしてみるのも選択肢の一つです。あまり知られていないのですが、これは看護師さんなど医療現場に携わっている人たちのチームが対応してくれるダイヤルで、救急車が必要か否かの判断をしてくれます。


素人判断で不要な救急車を呼んでしまうと、本当に必要としている人にまわせなくなってしまいますし、現場の医師が困惑してしまうこともあります。もちろん、私たちが運営している「ファストドクター」にお電話いただくという選択もあります。
(ファストドクターHPより)

医師が自宅に行き、健康保険適用の診察をしてくれるサービス「ファストドクター」
via (ファストドクターHPより)
―ファストドクターについてあらためて教えていただけますか?

名倉:ファストドクターは救急病院に代わって、夜間に対応する救急往診サービスです。電話一本で医師が自宅へ診察に伺い、診察を行います。昨今、救急車の出動件数は増加し、平成28年には全国で620万件の救急車出動があり、560万人が救急搬送されています。そのうちの半数以上は軽症であり、救急車を利用する必要がないと思われる患者さんでした。


—緊急性がないのに救急車を呼ぶ人が増え、「救急車のタクシー化」が問題になっているという報道もありました。


名倉:もちろん、不安になる気持ちは理解できるのですが、救急車を走らせるのにもじつはお金がかかっていますし、それは私たちの税金から支払われているわけです。使わなくてもいい税金や緊急車を減らすため、そして夜間の病気で困っている患者さんを助けるために、夜間救急サービスのファストドクターはスタートしました。


とはいえ、ファストドクターの窓口にお電話をくださった患者さんすべてに往診するのではありません。緊急性が低ければ電話口で「その症状であれば、睡眠をよくとってゆっくり休んでくださいね」などとアドバイスをするに留めることもありますし、逆に、緊急性が高いと判断したときは救急病院に行くよう勧めることもあります。


往診の弱点は、できる検査が限られているところです。CTで頭部の検査をしたり、採血も種類によっては大掛かりな設備が必要だったりします。そういった検査が必要だと判断したときは、往診ではなく救急病院での診察を案内しているんです。


―必ずしも往診するわけではなく、患者さんの状況によって臨機応変に対応しているのですね。


名倉:私たちが心がけているのは、適切な「振り分け」をすること。なので、まずは気軽にファストドクターを利用していただきたいです。電話をしようかな、どうしようかな、ではなく、まずは電話をしてみる。そこで私たち現役の医師が適切な判断をさせていただきます。
(ファストドクターHPより)

内科医、小児科医、整形外科医といった現役の医師が所属する
via (ファストドクターHPより)
―ファストドクターの利用者には、どんな人が多いですか?


名倉:症状として非常に多いのは「感染症」です。そして、利用者として多いのは、お子さんがいらっしゃるご家庭ですね。たとえばシングルマザーでお子さんが2人いらして、1人が体調を崩してしまった。病院に連れていきたいけれど、もう1人の世話もしないといけない。2人を連れて救急病院に連れていくのは難しいから、自宅に往診するファストドクターを利用いただいたというケースもあります。


そもそも、シングルマザーで働いている方は、一家の大黒柱でもあるので、簡単に仕事を休めないことも多いですよね。そういった困難を抱えている方に対して安心を提供することは、ファストドクターが掲げる目標に通ずるものです。先ほどお話したように、場合によっては電話口での相談だけで済むことも少なくないですし、それで安心、納得していただけるのであればなによりです。
(ファストドクターHPより)

「ファストドクター」ではさまざまな症状に対応している
via (ファストドクターHPより)

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