食物アレルギーでも「楽しい食卓」を諦めない。対応ケーキ開発に託した思い

食物アレルギーでも「楽しい食卓」を諦めない。対応ケーキ開発に託した思い

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子どもを育てるママにとって、切実な問題となりやすい「食物アレルギー」。
卵、乳製品、小麦など、身近な食物が原因となって引き起こされる、じんましん、喘息といった症状だけでなく、家族の食卓や、お友達とのおやつの時間にパンやケーキ、ビスケットなど「同じものを食べる楽しみ」が奪われてしまうのも怖いところです。

そこで今回は、広島から全国に製パン事業を展開する「アンデルセングループ」の一社として、アレルギーの原因となる卵・乳製品などを使わないケーキやパンを製造・販売しているタカキヘルスケアフーズ代表の三山雅代さん、さらに、日々、医療現場で「食物アレルギー」と向き合う神奈川県立こども医療センターアレルギー科医長の高増哲也先生と、管理栄養士の磯部宏子先生を迎えて、食物アレルギーに負けない、家族みんなで囲む食卓をテーマにして語りあっていただきました。

取材・文:竹内厚 撮影:佐藤佑樹
プロフィール

高増哲也(たかます てつや)
神奈川県立こども医療センターアレルギー科医長、栄養サポートチーム座長。講演会やテレビ・ラジオなどにも出演して、食物アレルギーに関する正しい知識の普及に務めている。日本アレルギー学会指導医、日本静脈経腸栄養学会指導医。共編著書に『チームで実践!! 小児臨床栄養マニュアル』(文光堂)。
http://kcmc.kanagawa-pho.jp/


磯部宏子(いそべ ひろこ)
管理栄養士として神奈川県立こども医療センター栄養管理科に勤める。日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会小児アレルギーエデュケーター、日本静脈経腸栄養学会NST専門療法士としても活躍。
http://kcmc.kanagawa-pho.jp/


三山雅代(みやま まさよ)
株式会社タカキヘルスケアフーズ代表取締役社長。タカキヘルスケアフーズは、アンデルセングループにおいて介護食、医療食、育児食など、ヘルスケア食品の企画開発、販売会社として、2010年に設立。介護食業界初となるパンの介護食「らくらく食パン」、卵・乳製品不使用の「すこやかロール」、卵・乳製品・小麦不使用の「すこやかクッキー」「すこやか焼きドーナツ」「すこやかフルーツケーキ」などを販売。
http://www.takaki-healthcare.co.jp/
食物アレルギーが注目されていなかった1989年から対応食品に取り組まれていたとは驚きです。(高増)
—「食物アレルギー」への対応として、原材料を表示する飲食店などもずいぶん増えてきたように感じます。タカキヘルスケアフーズでこの分野の商品に取り組むことになったきっかけを、まずはお聞かせください。


三山:アンデルセングループとして、アレルギー対応のパンを発売した歴史は意外と古くて、1989年なんです。当時、お客様相談室に「うちの子どもが卵と乳製品が食べられないんだけど、それでも食べられるパンはありませんか?」というお問い合わせが増えていたことをきっかけに、卵と乳製品を使わない「すこやかロール」を開発して、発売することになりました。

私が入社したのが同じ1989年なので、発売に至るまでの詳細な経緯は知らないのですが、よくその時代に先輩方は勇気を持って、この分野に踏み出したなと思いますね。

タカキヘルスケアフーズが製造販売する、卵・乳製品などを使わない「すこやかシリーズ」のケーキやパン
高増:1989年と聞いてハッとしたんですけど、ぼくが大学を卒業した年ですね。その頃、アレルギーといえば喘息がメインで、食物アレルギーはほとんど注目されていませんでした。医療の現場ですらそんな状況ですから、当然、食品会社で対応しているところなんて全然なくて。1989年からアレルギー対応食品に取り組まれていたというのは本当に驚きです。

磯部:いまでこそアレルギー対応食品は数多く出ていますけど、注意していただきたいこともあるんです。たとえば一時期、米粉パンがブームになりましたけど、食感や風味をつけるためにグルテン(小麦などから生成されるタンパク質の一種)を添加しているパンもありますので、小麦アレルギーの方は注意が必要です。

あるいは、アレルギー対応の表示をされている飲食店が増えているのはたしかですけど、果たしてそれがスタッフ全員にまできちんと教育されているかどうか。つい料理箸などを使いまわしているかもしれないですから。

左から、三山雅代、高増哲也、磯部宏子
高増:ぼくの同級生に大手メーカーの食品管理を担当している人がいて、よく話をするんですけど、膨大な規模の製造をこなしていくなかで、100%完全にアレルギー物質を排除することはどうしても難しい。じゃあ、排除するためにどこまでコストと手間をかけるのか? という議論になるんですけど、その線引きを決めるのはとても難しいんです。医療と食品メーカーの現場が、現実的なケースも含めて、もっとお互いに情報交換することが必要ですね。
クリスマスやバースデーケーキなど、「みんなで同じものを美味しく食べる」のは、子どもにとってすごく大事なこと。(高増)
三山:私自身も知れば知るほど、アレルギー対応食品を扱う企業としての責任をひしひしと感じています。弊社では、綿密なチェックの上で商品を出荷していますが、それでも安全安心にはいっそう気をつけていかなければいけない。検査基準も毎年高めており、一昨年からケーキ類に関しては、アレルギー対応に特化した専用工場で作ることで、いっそう安全安心な商品になりました。しかも、味の面でも格段に美味しくなったんです。アレルギー対応食品だからといって、味を妥協しなくてもよくなってきた。

タカキヘルスケアフーズが製造販売する、原材料に卵・乳製品・小麦不使用の「すこやかフルーツケーキ」
高増:タカキヘルスケアフーズでは、アレルギー対応のクリスマスケーキやバースデーケーキを販売されていますよね。あれはこの分野に長く取り組まれてきたからこそ、生まれた商品じゃないかと感じたんです。「みんなで同じものを美味しく食べる」ということが、子どもにとってどれだけ大事なことか。

三山:ケーキに関しては、まさに「みんなで一緒に」というのがキーワードになっています。誕生日やクリスマスに、同じケーキを囲んで楽しんでいただきたいというのが一番。実際、お兄ちゃんがアレルギーで、弟さんはアレルギーではないというご兄弟もいて、お母さんは同じおやつをあげられないことに悩んでいらっしゃるんですね。そうした現状を知ってから、食物アレルギーに対応したおやつの品揃えも少しずつ増やしているところです。

高増:それは素晴らしいですね。一つ提案させていただくとすれば、ウェディングケーキはどうでしょう? 食物アレルギーの子どもを結婚式に連れて行くかどうかって、大問題になっているんです。結婚式というおめでたい席のことなので、もし食べて何かがあったとしたら、大変なことですから。そこで食物アレルギーに対応したケーキがあればいいのにと思っています。

三山:たしかにそうですね。ホテルから注文を受けて、ケーキを納品することはありましたが、ウェディングケーキまでは考えていませんでした。ぜひ検討してみたいと思います。

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