家事労働はワークに含まれる!「働き方改革」で育児状況は改善するのか

家事労働はワークに含まれる!「働き方改革」で育児状況は改善するのか

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ネットニュース記者中川淳一郎さんが雇用・労働、キャリアに詳しい常見陽平さんに、政府が主導する「働き方改革」について伺いました。「働き方改革」が、育児をする女性にとってどんな影響を与えるのか、実際の課題も含めて伺いました。
政府が主導する「働き方改革」だが、繁忙期では例外的に認める残業時間の上限を「月100時間未満」とするなど、掛け声と実態が伴っていないといった疑問の声も出ている。元々のイメージとしては、「効率的な働き方をし、残業時間を減らしてプライベートも充実させ、幸せな人生を送る」的なワクワクするものだっただろう。だが、このままでは単なる威勢の良いスローガンにしかならないと危惧を抱くのが、『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)を上梓したばかりの千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏だ。果たして、「働き方改革」は子育てに影響を与えるのか、今年の夏、父となる同氏に話を聞いた。
――働き方改革が実現されれば、育児は充実するとお考えですか?

まず、「働き方改革」に取り組むから育児に力入れようというのはおかしな話です。育児とは何か。子供は2人から生まれます。日本は昭和の時代においては、男性は仕事、女性は家庭といった考えがあった。子育てって、そもそも女性「だけ」のものでなく2人のものだということを、前提として捉えたいです。

だからこそ家事は、2人でやるもんだよねということを私は妻と確認し合いしました。でも、その前提は人によって、時代によって違うでしょうね。妻が会社員であるということもあり、私は子供を授かる前から家事をやってきた。それは家族であれば当然のことだと考えており、「男なのに家事してるゾ、ドヤ!」と言いたいわけではありません。基本的には食材の買い出し、料理、ゴミ出しは私の担当です。私の方が妻よりも時間的に柔軟な仕事のスタイルなので、時には皿洗いや洗濯、掃除も私がやります。

定時と残業のある妻が、家に帰ってから料理を作るのは大変なことです。だから、2人が少しでもラクになるよう、先に帰ってきた私が料理をする、ということになります。働き方改革があろうがなかろうが、そもそも家事ってのは大事なものなのです。働き方改革が進んだとし、労働時間が短くなって会社を早く出ても、結局立ち飲み屋へ行ってしまうなら、帰る時刻や睡眠時間は同じになってしまう。
――働き方改革と人生全般がリンクしなくなってしまうってことですね。
前提としてワーク・ライフ・バランスを考えなくてはいけないでしょう。ところで、「ライフ」って何だとお考えですか?
――家事とかも含まれるし、趣味・娯楽とかも含まれるのではないでしょうか。「ライフ」の部分は「楽しいこと」な気がします。
そこです。「ライフ」を保育園の送り迎えや、料理や子育てなど、仕事以外のあらゆることだと想定したとしましょうか。でも、保育園の送り迎えとかは、実際は「ワーク」みたいなものじゃないですかね?家事労働ですよ、それは。働き方改革で「ライフ」のどの部分をより快適にしたいかを考えたいところです。あとは「女性が働く時代」「女性が輝く時代」って言葉もおかしいです。だって、これまでだって女性は家事労働していたわけですよ。果たして、その場合、「ライフ」の充実はあるのか? 育児に追われる生活になって豊かさが手に入らない生活には気をつけなければいけないです。美しい言葉に騙されないことが重要です。
――常見さんは「イクメン」という言葉が嫌いだと以前書いていらっしゃいましたが、その心は何ですか?
イクメンって言葉が嫌いなのは、その言葉自体があることについてです。男性は仕事、女性は育児という規範を改めて可視化してしまったんです。男性は仕事に追われているから、育児から逃げる権利はある――。そんな主張がまかり通る実態を表す言葉なんですよ。「イクメン」って煽ってもその人の苦労は変わらないです。イクメンというと、かっこよく見えますが、あくまでも「仕事も育児もやっていて立派なパパね」と承認されるだけで、仕事の絶対量が変わらない以上、その人の苦労は変わらない。早めに会社を出て保育園に子供を迎えに行ったとしても夜は自宅に仕事を持ち帰って深夜まで仕事をする。こういう人のことも「イクメン」というのは、偽善的です。だから私はこの言葉が嫌いです。結局、イクメンってのは「男性なのに育児をする珍しい人」といった扱いだったのかな、とも思いました。問題を何も解決しないのです。だから、私は子供が産まれても「イクメン」という言葉を絶対に使いません。
――時間の融通を利かせづらい働き方をしている勤め人はどうすればいいですか?
それが問われています。気を付けなくてはいけないのが、多くの場合、こうした「働き方改革」にしても、「イクメン」にしても、結婚していて子供がいる夫婦を前提にしていましたが、これから誰にもやってくるのが「介護」です。育児と介護両方をやるような家庭もあるわけです。となれば、仕事の量が減らないと、家庭にかけられないよね、ってことですね。だからこそ、比較的柔軟な時間体系働けるようにする。或いは、どちらがどれだけ稼ぎ、どれだけ家庭に貢献するのかなどの取り決めを2人で決める。その身近な論点からは逃げられないと思います。

仮に、1日10時間働かなくてはいけないぐらいの仕事量があるとしましょう。何時から何時までの10時間か、を考えてもいい。やや現実的ではないかもしれませんが、自分が昼間は子供を面倒見て、仮眠とって、早朝に仕事をする、とか。ヤフーが週休3日にチャレンジしています。ただ、1日8時間働くところを週4日10時間ずつ働き、1日休みを取るという考えもあります。平日に40時間働いたことになります。この流れで、時間よりも成果を重視して、賃金と労働時間を切り離す議論も盛り上がるでしょう。「働き方改革」の議論の中でも、実はこの考え方は議論され続けています。ただし、時間単位でなくなれば、「人の定額使い放題」になる懸念も出てきます。

この前、ヒューレット・パッカードへお邪魔しましたが、同社には「タイムスライス」という考え方があります。「時間を切る」という意味です。朝は子供を保育園に普通に送り迎えをし、出社はせず客先に営業に出かけ、保育園に迎えに行き、夜中働いたりもする。時間の使い方を各人が「切って」マネジメントするのです。テレワークの推進も一つのソリューションですが、通勤時間は減るけど、労働時間は変わらない、いやむしろ増えるのではないかという問題がある。労働と育児・家事については常にジレンマがあるのです。「働き方改革」といくら叫んでもワクワクしないのは、みんな楽にならないことが分かっているからです。

――常見さんは、もうすぐ父になるわけですが、どんな子育てのビジョンをお持ちですか?
子供の可能性にかけたいですね。好奇心旺盛な子供に育てたいです。そのために、時間とお金を可能な限り注ぎたいです。受験戦争に巻き込ませたくはないですが、感じる力、考える力を身につけてほしいです。私は幼い頃、レゴブロックと読書が大好きでした。親がチャンスをくれたわけですが、私も子供と一緒に本を読み、レゴブロックをするのが楽しみです。私がそうだったように、自由と規律、怒りと愛を大事にしてほしい。とにかく、一緒にいる時間を増やしたいです。会話の絶対量を増やすということで、その子がどんな道をいくかは見守っていきたいです。

あとは、世の中の現実をとことん汚いところも含めて見せてあげたいです。私の母は、脳腫瘍を患い障害者手帳を持っていた父と、2人の子供、2人の老人を支えて働いていました。そんな人だったのですが、PTAか何かの会合でのスピーチをたまたま聞いてしまったんですよ。「……といった状況ではありますが、うちの子供には現実をすべて見せました」と母は言ってました。だから、私も世の中に格差があるとか、国と国が争っているとか、理不尽なことも伝えたいと考えています。iPadも幼い頃から利用を容認します。あとは、どうせいずれは染まるのだろうから、いかにも米国文化帝国主義的なディズニーランドにいかに連れて行かないか、ディズニーから距離を置かせるか、ということを考えています。まあ、ロックとApple製品にハマっている私が言っても何の説得力もないのですけどね。日本的なものも、まずは大事じゃないですか。
取材・文/中川淳一郎(編集者)

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